前回 : 作曲初心者がDTM歴1年未満でレーベルから自作曲がプロモーションされるまで 2.夏休み
Remix

僕の大学の夏休みは短い方ですが、その間に一つステップアップしていかなければいけません。
一日5~12時間を音楽制作に費やしました。
しかし、それでもなかなか思うように上達しません。
さらに、制作する音楽の方向性を変えてから一つの大きな課題が生まれました。
ボーカルです。
僕は最初はSpliceなどのボーカルサンプルパックに頼っていましたが、なかなか使いたいサンプルがありませんでした。
僕は来る日も来る日もボーカルをどこで手に入れようかWeb上を徘徊していました。正直これで一日潰した日もあります。
諦めかけた矢先、Remix Contestの存在を知りました。
無料で参加できると分かると、すぐに登録を済ませ、コンテストにエントリーしました。
それがこの先もお世話になるSKIO Remix Contestでした。
エントリーしたのは、KiiaraのMessyという曲のremix contestです。
ボーカルだけを聴いてみると、「これはもしかしたら行けるかもしれない!」と気持ちが高まり、早速Remix作りに着手しました。
この頃にはMassiveの購入も済ませており、いらないくらいソフトシンセに恵まれていました笑笑
この時点で僕が持っていた有料シンセは、
- Nexus 2
- Sylenth1
- Serum
- Massive
の4つです
そして2日後、Remixが完成しました。
この頃からPCのスペック(core i5, メモリ8gb)が追いつかなくなり、マスタリング時にはまともに再生されず、pcが悲鳴をあげながら音がブツ切りの状態でOzone8とか適当に突っ込んでいました笑笑
また、この頃はマスタリングを全く理解していなかったため、ミックスの時点で0dbを超えており、その状態でOzone8の自動マスタリング機能を用いて、
「なんでマキシマイザー動かないんだろう??」
などと頭を傾げていました。
笑えますね笑笑
そして、試行錯誤の末に完成したRemixがこちらです(Full版は
その時の僕の気持ちとしては、うまくいったと思っていました。
出来上がった曲をすぐに提出しました。
あとは、2ヶ月後の結果を待つのみです。
流石に2ヶ月待つのは退屈だったので、もう一つコンテストに参加しました。
この曲です。
これはremixしやすかったため、前のkiiaraの時よりも早く作り終わり、提出しました。
2つのRemixを提出して僕はほかの人のRemixを聴いていました。
その時の感想は、
「なんだこれ、レベル低くない??」
というものでした。これを、ダニングクルーガー効果と言います。
これは、能力の低い人物が自らの容姿や発言・行動などについて、実際よりも高い評価を行ってしまう「優越の錯覚」を生み出す認知バイアスの事です。
僕はこの時、まさにこの状況に陥っていました。
聴く曲聴く曲全てがしょうもないものに思えて、その影響で自分のRemixが、まるで洗礼されたもののように思えました。
「これワンチャン3位以内入ったらどうしよう^_^」
などと本気で考えていました。こういうのを俗に「お花畑」と言います。
さらに、あとで提出したDenny StricklandのRemixについては、さらに自信があったため、Spinnin Talentpool に提出しました。
すると、こちらの方は全体ランキングで60位くらいまで一気に浮上してきました(曲消したので写真はないです、すいません)。
「これは本当に行けるかも...」
そう思っていました。
そして、ここで少し自惚れの気持ちが現れてきました。
DTMを始めて半年もせずにTalentpool で上位に入った事、周りと比べて成長速度がかなり速いと感じたことを筆頭に、束の間の優越感に支えられ、僕は夏休み残り1週間程の時間をNetflixで全力で潰しにかかりました。
少し音楽から離れたかったのです。
Remix Contestの結果

大学が始まり、さしたる進捗がないまま、Remix Contestの結果が発表されようとしていました。
すでに11月になっていました。
自惚れの気持ちは膨らむ一方で、今か今かと発表の時を待ち侘びていました。
その間、僕が作った曲は0曲です。
そして、予定を1週間ほど延長した後、ついにSKIO側がコンテストの結果発表を行いました。
最初に提出した、Kiiara - Messyの結果です。
僕の結果は以下の通りでした。

低い...圧倒的低さ(全部で1300くらいの提出があったうちの1000位です)!
自らの目を疑いました。まさか、下から数えた方が早いとは...
しかも圧倒的な差をつけ下!
その他のスコアは以下の通りです。


その時はまだ、他の曲を聴いても自分の順位の低さを信じることはできませんでした。
特に、ミキシングマスタリングのスコアの低さに驚きました。
今となっては納得しているのですが、当時はやはり耳がまだ音楽制作に向いていなかった(笑)ので訳がわかっていませんでした。
指数関数的な速度で、圧倒的に自信をなくしました。
自信をなくしたのは、自分の曲が周りより劣っているが故ではなく、なぜ自分の曲がこれほどまでに評価が低い理由がその時は分からなかったからです。
自分の曲がゴミだと自覚している分には改善の方向性は分かりやすいですが、自覚していない場合には、どういう曲を作ったら評価されるのか分からないため、これからどういう風に音楽制作と向き合えば良いか分からなくなってしまいます。
そして、僕はこれまで全てレンズの向こうの虚像を目指して、ただただ時間を浪費しているかのような思いに囚われました。
方向性を失ったまま、僕はPCの画面から目を離し、次のRemix Contestの発表があるまで空の時間を過ごしました。
少しの進歩
それから間もなくして、Denny Stricklandの結果発表がありました。
僕は発表の時が来るまで蝉の抜け殻のような生活をしていました。
そして、結果が発表されると、寸分の期待を胸に、PCの画面を開きました。

嬉しさよりも、安堵感が優っていました。
Electronic部門では、母数が少ないものの1位(15人中)を取れました。
その他の指標については以下の通りです。


ミックスマスタリングについてはまだまだであるものの、僕は少し調子を取り戻しました。
それからまた2つほどRemix Contestに応募しました。
とにかくしっかり聴いてくれている事が嬉しかったのです。
それまではTwitterでいくら載せても反応がほぼ0だったため、僕はこの環境に依存し始めました。
年が明ける前日も、年が明けた日も、僕は音楽を作っていました。