前回 :
今回もAdam Szabbo他のKnock Me Outを用いて、DTMにおける音、メロディー、コードについてお話していきたいと思います。
EDMにおける音 : シンセサイザー
まずは音についてお話していこうと思います。
EDMは音のバリエーションが非常に豊富です。J-RockやJ-Popとかと聴き比べてみれば一目瞭然です。しかもEDMの中でのサブジャンル毎でも使用する音は全く異なる場合があります。
ただ、大きく分けると、シンセサイザーで表現するEDMの音の種類は以下の6つです。
- Lead
- Chord
- Bass
- Pluck
- Key
- Pad
時によってはChordやKey, PadなどをSynthと表現する場合もあります。
Lead
主にメロディーを奏でる音です。ここはKnock Me Outでは少し説明しずらいので僕が作った曲を使っていきます。
全体としては以下のような感じの曲ですが↓
Lead部分だけを取り出すと以下のようになります↓
ちょうどメロディーの部分だけが抽出されていると思います。これがLeadです。Leadはジャンルによってかなり多様なので、今回は少しだけ紹介しようと思います。
Progressive House(EDM)
Future House
Hardstyle
これらはあくまで一例です。例えばHardstyleでも全く異なった系統のLeadを使う場合もたくさんあります。ただ、大まかな雰囲気を捉えるならばこれで十分です。
Chords
Leadはロックバンドで言うと文字通りリードギターのような役割を果たしますが、Chordsはバッキングのギターのような位置付けです。
コードはもともと和音という意味合いで、リードが単音を響かせる場合が多いのに比べて、単音を重ね合わせて複数の音を同時に鳴らすのが一般的です。
Chordsはピアノロール上ではこんな感じに書きます。

視覚的にも、音が重なっているのが分かりますね。Knock Me Outでいうとサビの部分はリードというよりかはコードがそのまま前面に出てきています。
コードが前面に出てきやすいジャンルはいくつかあるので2曲ほど聞いてみましょう。
Future Bass
Melodic Dubstep
今例としてFuture BassとMelodic Dubstepを挙げましたが、この2つのジャンルでも今ではLeadが使われる方が多いと思いますので参考程度にとどめておいてください。
Bass
ベースもEDMではかなり重要な要素の一つです。まだDTM始めたてでBassの音がない曲を見かけることがちらほらありますが、Bassがないと曲がスカスカになってしまいます。
Knock Me OutのサビでいうとBassはこんな音になっています。
この音はベースの中でもかなり低めのSub Bassという音になります。普通はSub Bass + 高めのベース等を組み合わせるのですが、Knock Me OutではSub Bassのみの使用となっております。
Bassが特徴的なジャンルがいくつかあるので紹介したいと思います。
Dubstep
DubstepではよくWobble Bassという特徴的なベースを用います。興味がある方はチェックしてみてください。
Psytrance
PsytranceはBassが前面に押し出されることの多いジャンルです。
Pluck
PluckはChordsと似ているのですが、もっと断続的な音で弾力があることが多いです。
最初は弾力のあるPluckの音が、次第にシャリシャリとしたコード音になっていくのが分かると思います。また、Pluckでは単音でもよく用いられるのがChordsとの大きな違いです。
Pluckは様々なジャンルで用いられますが、主役になることはそれほど多くないと思います。
Key
これは非常に微妙な分類で知らなくても良いかと思われます。イメージ的にはPluckとPianoとChordsの間くらいと思ってくれて良いと思います。
Pad
Padは壮大さをイメージさせることの多い、落ち着いた音です。Knock Me Outでいうと最初のイントロの部分の音がまさにPadです。
これも様々なジャンルで使用されますが前面に出てくる頻度は低めです。
EDMにおける音 : サンプル
EDMを構成するのはシンセだけではありません。かなり多くのサンプルを使用します。
Knock Me OutのFL Studioの画面を見れば分かりますが、下のように規則的に点や線で描かれたメロディーの情報(MIDIという)の他に、

下のような音の波形をダイレクトに表示したサンプルというものがあります。
一般的にEDMにおいてはMIDIよりサンプルの方が多くなりがちです。Knock Me OutのようなMIDIが多めな場合はどちらかというと少数派だと思います。

サンプルには様々な、というよりほぼ全ての音を指します。それはそのはずサンプルは音の波形をダイレクトに表しただけのものなのであらゆる音をサンプルとして保存できるはずです。
ただ当然、サンプルとしてよく使われるものというのは存在するのでそれについて少し話していきたいと思います。
FX (Whitenoise, Riser, Lifter, Impact 他)
まずはFXです。FXというよりもカッコ内に書かれてある用語の方が圧倒的に需要が高いです。
早速聞いてみましょう。
Whitenoise
Riser
Downlifter
Lifterには主にDownlifterとUplifterの2種類があります。まずはDownlifterです。
この音を聴けば分かりますが、これってWhitenoiseの音と似ていますよね。Downlifterには色々種類があり、このようなサーっというようなWhitenoise系統の音や、もっとゴツゴツした音などかなり多岐に渡ります。
Uplifter
この音、実はDownlifterを逆再生させただけです。そうすればRiserのように上がっていくUplifterになります。正直RiserとUplifterは同じようなものです(多分)。
Impact
文字通りインパクトです(語彙力)。
いかがだったでしょうか。もちろんこれ以外にもFillやFoleyなど様々な音がありますが、とりあえず基本的にこれらを押さえとけば大丈夫です。
またドラム関連ですが、EDMの場合はサンプルをそのままDAWに貼り付ける場合が多いです。
DTMのコード作成講座
続いてコード作成に行きたいと思います。とは言っても、全て説明しているとかなり長くなってしまうので、今回はとりあえずイライラせずにコードをサクッと作れるパターンについてお話したいと思います。
まず、コードを作る時にその楽曲のスケールを決めてしまいましょう。スケールとは大きい小さいではなく、鍵盤にあるどの音を使うかを決めるという意味です。このスケール(Scale)はキー(Key)と同等と考えて大丈夫です。いや、厳密には全然違うかもしれませんが、少なくとも僕は違いがよく分かりません笑。
スケールは、鍵盤上にある音から決めるので、Cmajや、F#minなどという言い方をします。
ここで例えば、スケールがCmajだと言われたら、基本的に使用する音はC, D, E, F, G, A, Bです。簡単にいうと鍵盤の白い部分です。これを内音と呼び、ここに含まれていない音を外音と呼びます(多分)。もちろん黒い鍵盤を絶対使うな!というわけではありませんが、のスケール外の音をいじるのはもっと時間が経ってからで良いでしょう。
Cmajではなく、例えばDmajだったら、構成音はD, E, F#, G, A, B, C#となり、これらの音を使って曲を作っていきます。
「そんな構成音とかいちいち覚えてられない!」という心配をする必要はありません。基本的にどのDAWにもスケールの内音を表すツールがあります。
FL Studioの場合を見ていきましょう。まずはSamplerを出し、そのピアノロールを開き、左上の部分をクリックします。

紫色のところをクリックしたら色々出てくるので、メジャースケールならMajor, マイナースケールだったらMinor Natrual(Aeolian)を選択しましょう。

今回は試しにMajorにしてみます。クリックしてからピアノロール上でどこか適当に左クリックをしてみると、緑の奴が7個出てくると思います。これがメジャースケールの構成音です。

例えば図のように、一番下をGに合わせたらGmajになります。Cmajにしたかったら一番下をCにすれば良いですね。
例えばGmajに決めたら、一番下をGにしてコピーアンドペーストでどんどん下図のように重ねていきます。これで下準備が完了しました。

これで一旦このピアノロールを閉じ、他の楽器でメロディーを入力します。その時に白い部分が出てくると思うので、その上のみを踏んでコードやメロディーを作っていきます(絶対的なルールではないですが)。

上の画像を見れば分かりますが、このように白い部分が出来、その上でメロディーを作成しています。
これでコードを作ってみましょう。その為にコード進行を考えます。
僕がよく使っているのはChordifyです。ここで好きな曲のキーとコード進行を調べてみましょう。
一つ注意点として、Chordifyはやや精度が低いです。キーや進行は間違っていることもよくあるので注意しておきましょう。
例えばキーはDmaj, コード進行はG -> D -> Bm -> Aとしましょう。

次にHookpadへ行き、このコード進行を入力します。

次に、右上のPianoというところをクリックします。すると下にピアノが出てくるので、この通りにDAWのピアノロールに打ち込みます。

D, Bm, Aについても同じことを繰り返すとピアノロール上では以下のようになるはずです。

これで終わりです。殆ど何も考えずにコード進行を作ることができましたね^^ 音は以下のようになります。
勿論これを色々弄ることもできます。例えば、最後のAが少し明るすぎると思ったら上の画像の一番右上のAを1オクターブ下に持っていくと以下のようになります。

最初はこんな感じで少しずついじっていき、最終的に自分で1から作れるようになれば良いです。コード進行についてはダイアトニックコードなどの役立つ知識はあるのですが、これをやると長くなりすぎるため今回は割愛させていただきます。
DTMのメロディー作成講座
せっかくなので今作ったコードをもとにメロディーを乗せていきましょう。勿論KeyはDmajです。
どうすれば良いメロディーを作ることができるのでしょうか? 明確な答えはありませんが、ここで一つダサいメロディーを紹介したいと思います。

少なくともあまりかっこよくはないと思います。
個人的にメロディーを作る際に気をつけていることは
- 規則性を持たせる
- 空白を作る
- のめり込まない
の3つです。勿論この全てを満たす必要はないですが、逆に全部ないのは考えものです。
規則性を持たせる
上記のメロディーは規則性がほぼありません。ただ音をテキトーに並べているだけです。そこで以下のように規則性を持たせて、所々外していくと以下のようになります。

これは正直かなり規則性の強いメロディーです。これほどにする必要はありませんが、全く規則性がないのはDTM始めたばかりの頃はどうしてもダサいメロディーになりがちです。
ちなみにこのメロディーは以下の曲を参考にしました。
↑この曲は僕のブログの中でもう何回登場してきたか分かりません。とても良い曲です。
空白を持たせる
空白も音楽の大事な要素の一つです。音がたくさん詰まっているのが良いメロディーというわけではありません。以下のメロディーは規則性を保ちつつ空白を設けた例です。

下の曲を若干参考にしてみました。
のめり込まない(時間をかけ過ぎない)
良いメロディーを作るのに時間はあまり関係ありません。むしろ時間をかけてあーでもないこーでもない、といった感じで作ったメロディーよりも、ささっと作ったものの方が結果的に良い場合が往々にしてあります。
メロディー以外にも、音やリズムなど、大事な要素はたくさんあります。メロディーばかりに気を取られると、結局メロディーも微妙なものになってしまう可能性があります。
まとめ
今回は
- EDMで使用される音の紹介
- コード作成
- メロディー作成
について述べました。この知識をもとに今後進んでいくのでよろしくお願いします。
次回 :
本講座のコンセプト↓