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【音源あり】プロの曲から学ぶEDMミックス講座【初心者講座3】

前回 :

初心者講座の第3回、ミキシングについてお話していきたいと思います。

そもそも曲作りには以下の4つのステップがあります。

  • 作曲
  • 編曲
  • ミキシング
  • マスタリング

上の2つは音、メロディー、コードなど、曲のメインの情報や土台を作ってつなぎ合わせて展開させていく作業です。下の2つは各楽器の音量や周波数をいじり、曲が一番綺麗にかっこよく聴けるようにするための作業です。まずは例を見ていきましょう。

Adam Szabo他のKnock Me Outです。次の音声はミックスマスタリングがすでに終えている状態です。

Adam Szabo, Johan Vilborg & Johnny Norberg - Knock Me Out


次のはミックスとマスタリングがなされていない状態です。

Adam Szabo, Johan Vilborg & Johnny Norberg - Knock Me Out without mixing and mastering


驚くほどの差があるかと思います。下の方は全体的に音が弱々しく、かと思ったら急にボーカルが前面に飛び出してきたりしてお世辞にも良いサウンドとは言えません。

EDMでのミックスの基本

ミキシングとは簡単に言えば「各楽器・パートの音量を調節する」ことです。

なんだそれ簡単じゃん!


と思ったら大間違いで、音量バランスの調節は一筋縄ではいかない結構難しいことなのです。

ミキシング作業で使うプラグイン等は基本的に以下のものです。

ミキシングで使う主な道具
  • ボリュームフェーダー
  • Pan
  • EQ
  • コンプレッサー
  • サイドチェイン
  • リバーブ
  • ディレイ
  • サチュレーション・ディストーション


そのほかにアナライザーを持っていると良いです。これは各周波数においてそれぞれどのくらいの音量が出ているかを視覚的に確認することができるツールです。SPANという無料のプラグインがあるので是非入れてみてください。

EDMのミックスの具体的な方法

STEP0 適切な音を用いる

音選び

まずはその楽曲の雰囲気に合う適切な音を使用しましょう。例えばKickとベース。これはジャンルや曲によって全然異なった音を使用します。

例えば下の2曲を聴いてみましょう。Kickに注目してみてください。

上の方はボンッ、ボンッ、というような重い音、下の方はもっと硬くて締まった音になっています。

この音の選択が異なるだけで全く違った風に聞こえてしまうこともあるので注意が必要です。

自分が作っている曲がどういう雰囲気の曲なのかを考え、それに合った音選びをする必要があります。

音の数

ミックス、マスタリングが上手くいかない原因の一つに使用している音が多すぎる、または少なすぎることが挙げられます。

Knock Me Outを聴いてみると、Dropにおける主な構成音はVocal, Chords, Bass, Kick, Clap, Ride, その他10個くらいのFXからなっています。ここで例えばBassがないと迫力に欠け、ClapやRideがないと少しスカスカな感じになってしまいます。

逆にスカスカが嫌だからといって無闇に無駄な音を付け加えすぎると、単純にうるさかったり、ミックスがしずらくなったりします。その場その場で適切な音の数を考えましょう。

STEP1 DrumとBassのミックス

ボリュームフェーダー

続いてDrumとBassのミックスに入ります。よく言われるのはKickは-12〜-8dbにするという文言。これが一応目安になります。僕は大体いつも-10〜-9dbの間に納めています。

ここでKnock Me Outはどうなっているかというと、Masteringをしていない状態で、

  • Sub Bass : -14〜-10db
  • Kick : -7db

他にも、例えばAdam Szabo & Johnny Norberg - I Wanna Beでは

  • Bass -3db
  • Kick +1.5db(クリッピング)
  • Master +6db(クリッピング)

となっています。赤字で書いてあるところは0dbを超えている状態で、そのままだと曲を書き出した時に歪んで(ひずんで)しまいます。そこで、マスターチャンネルではボリュームを一旦落としてから、再び上げて0dbに近づけています。普通はあまりこういうやり方はしないと思うので参考程度に見てください。

Asher Postmanだと、"Future Bass"で、

  • Sub Bass -12db
  • GMS Bass(高域のベース) -19db
  • Bass全体 -9db
  • Kick -5.1db
  • Master -4.1db

"Future House"で

  • Sub Bass -30〜-16db
  • Bounce Bass -15〜-12db
  • Bass全体 〜-8db
  • Kick -8.45db
  • Master -8db付近

です。Future Houseはバウンス要素が強いので幅が広いですが仕方ありません。Max値を見てもらえばOKです。このFuture HouseにおいてはBassがメインメロディーを奏でているので、Kickと比べた相対音量が大きくなっていることに注意してください。

だいたいBass全体の音量がKickよりも-4〜-6dbほど低くなっていることが多いです。ただ、これはあくまで視覚的な情報です。視覚的情報よりも重要なのは聴覚の情報です。音楽なので当たり前ですよね。ただ、これが意外と難しくて、どうしてもモニターばっかり頼ってしまいがちです。

今の数字は参考にはなりますが、鵜呑みにせず、自分の耳で常に判断してください!

EQの説明

次はEQです。EQとはイコライザーのことで、特定の周波数の音量を上げたり下げたりします。

こう聞くと、「なんかショボそう」「大したことなさそう」と思うかもしれないので、ここで2つ聴き比べてみましょう。

EQなし
EQあり


上の方は主要なパートからEQを取り除いた(バイパスした)もの、下はEQありです。

特定の周波数の音量の上げ下げだけでここまで変わります。EQはもっとも重要なエフェクトの1つです。

EQを使う前に

EQの魅力に気づいてしまうと、どうしても「EQかければなんとかなる!」「EQをかけて音の質を高めよう」という意識になってしまいます。

しかし、やはり一番重要なのは音選び、音作りです。最初から良い音を選ばないと、どんなにEQをかけても限界があります。そこだけはまず最初に押さえておきましょう。

KickのEQ

ではまずKickのEQについてお話していきます。基本的にこれは音選びのところで良い音を使用しているのが前提条件となります。

EDMにおいて、良いKickの音は、芯がしっかりとしていて低域も高域もしっかりなっている音と考えてみましょう。

では早速、Knock Me OutのEQ設定を見ていきましょう。


まず注意するべきことは、このEQ設定を鵜呑みにしないことです。このKickの音源はもともと低域(ロー)に比べて高域(ハイ)が強すぎたため、ローを上げ、ハイをカットしています。

大体50Hz(下に周波数が20, 50, 100, 200...と書いてあるのが分かるかと思います)くらいのところを上げて、2〜5kHzのところをところどころカットしています。

また、100Hz付近をカットしていると思いますが、これはよくやる手法です。他の楽器のローの低域と被る可能性が高いので、カットしています。

逆に、高域が少し弱いKickだったら、ハイを少し上げて(ブーストして)みると良いでしょう。

最後に、KickでEQの有り無しで聴き比べてみましょう!

Knock Me Out Kick EQあり
EQなし


上の方がどっしりとしたサウンドになっていますね!

BassのEQ

Knock Me Outは珍しく、Sub Bassしか使用していませんが、通常はSub Bass + 高域のベースや、Sub Bass + 中域のベース + 高域のベース などなど...2つ以上使用する場合が多いです。

2つ以上のベースを使う場合は帯域をしっかりと分けましょう。ベースだからといって全部ローをほったらかしにすると泥のようなミックスになります。中域以上のベースを使用する場合は以下のようにローカットを施しましょう。

100Hz付近から下をローカットしている


ローカット(基準より低い周波数を切る)は、ハイパス(基準より高い周波数を通す)と表現されることもあるのでどちらも覚えておきましょう。これを覚えれば、ハイカット、ローパスの意味も分かると思います。

ちなみに、Sub Bassは低域を支えるので必ずローを通しましょう。カットするとスカスカになってしまいます。

Distortion(Saturation)

ベースは意外と目立つことが多いです。Sub Bassしか使っていない場合は目立つことは少ないと思いますがそれは少数派です。多くの曲ではベースは意外と前面に出てきています。


これなんかもよく聴いてみると、ベースの音が聴こえてくると思います。聴こえなかったとしても、意識すれば次第に聴こえてくるようになると思います。

目安としては、Dubstepなどのジャンルを除けば、「意識すれば普通に聴こえる」くらいがベースの音量の目安になります。ただし、ベースの音量を上げても聴こえない場合は、ディストーションをかけてあげるのも一つの手です。

殆どのDAWにはディストーションのプラグインが入っているはずです。FL StudioだったらFruity OverdriveやFruity Fast Distがそれに当たります。

これらのディストーションをベースに少しかけてあげます。エレキギターのようにがっつりかけることはあまりしません。

Distortionなし
Distortionあり

下の方が少し音が汚いような感じがしますが、この方が全体で聴いたときに聴こえやすいです。

サイドチェイン

サイドチェインはほぼ必須です。サイドチェインは簡単に言うと、この場合、Kickが鳴っているタイミングの時だけBassの音量を下げることです。EDMでは必須のテクニックです。

KickとBassが同時になると、低域がモロに被ってしまい、濁ったミックスの原因になってしまいます。よってKickの時だけBassの音量を下げてKickが鳴り終わったら再び音量を上げましょう。

サイドチェインの仕方は上で言ったことをただ行うだけです。上からKick, Bass, Bassの音量のオートメーションです。

3段目のオートメーションを見れば分かるように、Kickの鳴り始めのタイミングでは音量がほぼ0で、Kickが鳴り終わるくらいの時に音量がMaxになります。このようなオートメーションを書くとサイドチェインの効果を得る事ができます。

音を実際に確認してみましょう。

サイドチェインあり
サイドチェイン無し

違いは明白ですね!

その他エフェクト

これらの他に、リバーブコンプレッサーを使用する場合もありますが、今回は上記の2つの基本的なエフェクトの説明のみにしたいと思います。

https://blog.landr.com/ja/コンプレッサーを毎回完璧に設定する方法/

https://blog.landr.com/ja/多彩なエフェクト「reverb」(リバーブ)とは/


STEP2-1 シンセ系統の音のミックス

次にシンセやギターなどのメインの音のミックスに入りましょう。

最重要なのは変わらず音選び(音作り)と音量バランスです。それを踏まえた上でEQやコンプの設定に入っていきましょう。

EQ

EQのポイント
  • 基本Chords, Guitar, Leadなどほぼ全てにローカットを施す
  • 足りない帯域を考える
  • 飽和している帯域を考える

まず、楽曲において低域を支配するのはKickとBassです。逆にこの2つ以外が低域を支配することは少ないです。

そのため、KickとBassがある場合は、それ以外のパートは基本的にローカットをすると良いでしょう。

多くの場合は、100〜200Hzのところでバッサリ切ります。もちろんこれは絶対ではないので自分の耳で聴いて、どういった処理の仕方が一番良いか模索していきましょう。

下の画像は100Hz付近でバッサリ切った場合です。80Hz以下はもう殆ど鳴っていません。


一方、下の画像はKnock Me OutのChordsですが、このようにカットをあまりしない場合もあります。


こんな感じでEQの仕方一つとっても正解はありませんが、比較的多い処理の仕方として、

  • Chords系は50〜100Hz以下をローカット
  • Lead系は150〜300Hz以下をローカット

というのがあります。迷ったら参考にしてみてください。

次に足りない帯域について考えます。今まではEQの使い方というとカットが多めでしたが、ブーストする場合も当然あります。特に、低域と違って楽器が重なってもそれほど濁らない中域〜高域はブーストしやすい環境にあります。

例えば、Lead系の音で少し高域が足りないと思ったら足しますし、Pluck系の音なんかは結構がっつり高域ブーストをかける場合があります。

目立たせたい音は、1kHz〜2kHz当たりで1箇所か2箇所ほどブーストしてみると良いでしょう。

最後に飽和している帯域についてですが、これは当然うるさいのでカットします。音が一箇所に固まりすぎるのはあまりよくありません。

その飽和している帯域の見つけ方ですが、主に2つあります。

一つ目は、以下の動画のようにQを狭くして目一杯持ち上げ、「キーン」という耳障りな音がなっているところを数カ所カットする方法です。


もう一つは、Qを狭くして、持ち上げるのではなく、下げます。下げた状態でいろんな周波数を見ていき、音が透き通ってクリアになったところで止めます。これを1〜3回程度繰り返します。

どちらのやり方でも良いと思いますが、やりすぎは音質劣化に繋がるので、せいぜい3箇所くらいまでにとどめておくと良いでしょう。

コンプレッサー

コンプレッサーはよく「音量の差を軽減する」や「音を圧縮する」といった説明がなされることが多いです。説明すると長くなってしまうので他に譲りたいと思います。

https://blog.landr.com/ja/コンプレッサーを毎回完璧に設定する方法/

コンプの最大の難点は「変化がわかりにくい」ということです。実際に色々設定してみても、なかなか違いが分からないという事が発生してくると思います。

シンセ系だとレシオは自由(潰したいだけ潰す)、リリースは中くらい(200〜400ms)、アタックは10msくらいなのが僕がよく使っている設定です。よければ参考にしてみてください。

リバーブ、ディレイ

リバーブやディレイは空間系エフェクトと呼ばれ、音の響きや奥行きについての処理を施します。

まずは早速リバーブの有り無しを比較してみましょう。

Reverbあり
Reberbなし


リバーブがある方が、奥行きを感じられたかと思います。リバーブは、かける量が大切です。かけすぎると風呂のような感じになってしまいますし、全くかけないと奥行きが感じられません。

次にディレイの有無を見てみましょう。

Delayなし
Delayあり


ディレイがない時はブツッと音が途切れる感じでしたが、ディレイがあると同じ音を繰り返すため、ブツ切りを防げます。これに先ほどのリバーブを追加すると以下のようになります。

Delay + Reverb


空間系のエフェクトは音源に色や活気を与える事が出来るので是非活用していきましょう。ただし、かけすぎには十分注意してください。

サイドチェイン、その他

特別な事情がない限りは、Kickのタイミングでサイドチェインを掛けるのを忘れないようにしましょう!!

また、ディストーションなど、必要と感じたら躊躇わずにどんどん使っていきましょう。

STEP2-2 その他の音のミックス

最後に、残った音のミックスをしていきましょう。こちらは音量調整とEQがほぼメインとなります。空間系エフェクトなどは音作り要素として使う事が多いです。

初心者だとありがちなのが、やたらとパーカッションやホワイトノイズの音量を大きくしてしまうミスです。こういったものは主役ではないため、控え目に鳴らすのが良いでしょう。

最重要なのは音量調整。そこを忘れてむやみやたらEQやコンプを掛け過ぎないようにしましょう。

STEP3 マスタリング

ミキシングが終わったらマスタリングへ行きます。これは次の記事に解説したいと思います。

EDMのミックスの実践練習

それでは最後に一つ実践練習をしてみましょう。文字を眺めているだけでは身につきにくいと思ったので、今回は一つ音源を持ってきました。


これはミックスを一切していない状態です。ボリューム調節も、EQもコンプレッサーも、何もかかっていません。

これを下の状態に持っていきましょう^^ 本来はボーカルがついているのですが今回は無しで行きます。

1:05〜


勿論、上のは僕が個人的にミックス、マスタリングを施したものなので、これよりも良い結果になる可能性は十分に考えられます。

Stemはこちらのリンク(Tonden)からダウンロード出来ます。Twitterのフォローなど、若干お手数かけますがご了承ください。


是非ご活用ください^^ FL Studio20を所有の方はflpファイルを開けばすぐに作業を開始できます。FL Studioを持っていなくても、WAVファイルをご自身のDAWに貼り付ければ作業を開始できます。

この曲は使用している音の数が少なめなため、ミックスの難易度は他の曲とかに比べると低めだと思います。今回の記事にあることを参考にしてミックスしてみてください!

また、ミックスに関するおすすめ本(無料で読めます!)を紹介したので是非ご覧ください^^

END

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おととらべる

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現役理系大学生。 Programming : Java, Python 音楽活動名義はRoot Introvertです。 音楽制作でのリリース、プロモーション ByeByeCopyright -> Root Introvert - Between Our Hearts (2019年3月) AirwaveDubstepTV -> SHADOWKEY - Kiss Me(feat. Jellow) (Root Introvert Remix) (2019年10月) NoCopyrightNation(NCN) -> Root Introvert - You Don't Wanna Be Lonely(2020年2月) 7even EDM -> Root Introvert - You Don't Wanna Be Lonely(Promotion) (2020年3月、4月) InspiredByInspired -> Root Introvert - You (2020年2月) AshesToFlame Records -> Root Introvert & Isura - Reminiscent (2020年4月) 一人旅 : タイ、ラオス、ベトナム、マレーシア

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