DTMをやっていると、
- 誰かと一緒に曲を作りたい
と思う瞬間がやってくるかと思います。ただ、同時に自分の実力への不信感や合作相手がいないなどの問題があるかと思います。
そこで、今回はDTMでの合作の方法について、合作相手探しから解説していきたいと思います!
タイトルにはEDMと書いていますが、他のジャンルでも手順は殆ど変わらないかと思います。
EDM合作の方法

STEP1. 準備
まずは準備です。合作は時間とエネルギーを使うので
- PCの容量は適切か(少なすぎないか)
- まとまった時間が取れるか(合作はスピード感も大切)
くらいの事は確認しておきましょう。特に、海外の学生など、時間がある人と合作するときはなるべく自分の時間も確保しておきましょう。
STEP2. 合作相手を探す
ここが一つ目の山場です。合作相手の探し方は多岐に渡りますが、ここでは2つ紹介したいと思います。
STEP2-1. 仲が良い人と合作
実生活、Twitterなどで普段からやりとりしている人と合作するのが真っ先に考えられる手段です。
この場合は仲が良い人に声をかけていくだけなのでそれほど難しくないのでSTEP3に進みます。
STEP2-2. SNSやレーベルで探して合作
一方、それまで面識がなかった人と合作することも十分に考えられます。
その場合は
- SoundCloud
- Facebook
などを徘徊して「この曲いいな」と思う人にコンタクトを取りましょう。忙しかったり、相手側がメリットを感じない(実力差が大きい等)時以外は基本的に返信してくれると思います。
レーベルから曲を出した事がある人は同じレーベルにいる人に声を掛けると合作まで漕ぎ着ける可能性はかなり高いと思います。
海外の人と合作するときは、SoundCloudやInstagramのDMで

Hey, Bro. Your tracks are dope. Wanna collab?
程度で大丈夫だと思います。長々書き続けてもあまり意味がありません。
ただ、メールなどで送る場合はもう少し丁寧に自己紹介などをした方が良いかと思います。
STEP3. 互いのDAWを確認する
次に、お互いが持っているDAWとそのバージョンを確認しましょう。
DAWが同じ場合
使用しているDAWが同じ場合、合作の時のファイル送信は
- プロジェクトファイルの送信
- Stemの送信
の2種類が主に考えられます。
プロジェクトファイル送信時の注意点
FL StudioやAbletonなどのDAWでプロジェクトファイルを送信する時は、以下の画像のように使用したサンプルを必ずwav形式で同時に送りましょう。

プロジェクトファイルだけ送っても「サンプルが発見できません」というエラーが発生して完全に再生する事ができないので注意しましょう。
DAWが異なる場合
DAWが異なる場合は
- Stemの送り合い
が主です。Stemは先ほどの画像の音声ファイル(wavが基本)という認識でOKです。
コラム : プロジェクトファイルのやり取りは本当に楽か
同じDAWを使用している際はプロジェクトファイルのやり取りが可能になるのですが、一概にこれが楽だとは限りません。
- お互い同じプラグインを持っている
場合はかなり楽なのですが、使っているプラグインが著しく異なる場合はむしろstemの投げ合いの方が楽だと思います。
stemの投げ合いについては、お互いに送り合うよりも、どちらか一方が他方に送り続ける一方通行が効率が良いと思います。
STEP4. ラフアイデアの共有+リファレンストラック設定
ここまでの確認が終わったら実際に楽曲制作に移ります。
どちらか一方がアイデアを持っていたらそれを共有して作り始めて良いのですが、アイデアがない場合もあります。
その場合はまずリファレンストラックの設定(雑でもOK)をすると良いでしょう。
例えば、
- EDMかPOPsか? -> EDM
- ジャンルは? -> Future Bass, Future Pop
- どんな感じの曲にするか? -> 既存の曲の共有
- イメージが固まる
みたいな感じで絞り込みをしていけばOKです^^
STEP5. アイデアに色付け
アイデアは雑でも良いので取り敢えず方向性を決めたら色付けを行います。
キーを上げ下げしてみたり、メロディーを改変したり追加してみたり、音を加えてみたり、色々な事ができます。
アイデアはあくまでラフな状態なので、相手の顔色を気にせずにどんどん変えていった方が絶対得です。なぜならあなたは自分の力を思う存分発揮したいですし、相手はあなたから色々学びたいからです。
それで相手が納得しないようだったら相談すれば良いだけです。
STEP6. 完成まで持っていく
アイデアに色がついた時点である程度雰囲気がわかると思います。
ここまできたら後は残りのパートを埋めていくだけです。その方法について解説していきます。
方法1. パート毎に作る人を決める
一番多いのがこれですかね。A, Bという2人で合作をする場合、
- Intro, verseA, drop... A
- verseB, build...B
みたいな感じでパート毎に分担してくっつけていきます。
方法2. 工程毎に決める
次は、「工程毎に決める」手法で、
- アイデア...自分で考える
- アイデアを拡張してしっかり形にする...相手に任せる
- 拡張されたものにさらに修正する...自分で行う
- ミックス・マスタリング...相手に任せる
のような感じです。ミックスとマスタリングは分担しないで一人の人で行った方がスムーズです。
方法3. 流れのままに
ただ、実際は方法1や2だけ使うというよりは、両方用いることの方が多そうですね。
最初に「こうやろう」と決める必要はあまりなく、実際に進めていくうちに最適解が見つかる場合が多いです。
その為、何も決めずに手探りで行ってもしっかりと成果物は出来上がると思います。
実際に僕がやった合作の流れ

さて、これまで一般的な話をだらだら続けていましたが、それだけではつまらないので、実際に僕がどのように合作を行なっていったか解説していきます。
レーベルから楽曲をリリース -> インスタのDM
ことの発端は僕がNCNで楽曲をリリースしたのが始まりです。
これをリリースした何日か後に、同じくNCNから曲をリリースした事がある方からインスタのDMが届きました。

hey bro, I see ur an NCN artist as well 🙂 i'd love to collab if you'd like to, let me know
↑来たDMそのままです。
ここから合作が始まりました。
アイデア共有 -> アイデア修正、完成
声を掛けてくれた彼の方からアイデアを共有してくれました。
はじめに送られてきたプロジェクトファイルをmp3でエクスポートしてみました。なぜか一部音声が切れているところがあります。
これをもとに僕が色々いじってみたところ、以下のような感じになりました。
これをもとに、彼がさらに修正を加えて、Build upを加えてくれました。
残りの部分を作る
残りの部分では、
- Intro, VerseA(アイデア), Build up(修正), VerseB(アイデア) ...は僕が作り、
- outro, VerseA, B(修正), 2nd Drop, ミックス・マスタリング...は彼に任せました。
実際には何回か修正を加えたのですが、大まかな感じは上の通りです。
レーベルに提出
実際に出来上がったのがこちらです↓
これを色々なレーベルに出したりしましたが、ボーカルのContent IDの関係で出したいレーベルからはリリースできませんでした(悲)。
ただ、結局リリースしたレーベルのおかげでSpotifyの公式プレイリストに入る事ができました^^

その後も何人かからメッセージが来て合作をしています。
合作から学べること

DAWの使い方
DAWの機能を全て使いこなすのは非常に難しいです。僕も2年間FL Studioを使用していますが、まだまだ知らない機能はあります。
そこで、お互いに同じDAWを使用している場合は、相手のDAWの使用方法を知る事ができます。
それによって、今まで知らなかった便利な機能を発見する事ができます。
技術的な部分
ただ、やはり最大の利点は相手がどのように曲を作っているかが分かる事です。
- メロディー・コード(進行)の作り
- サウンドデザイン
- EQ、コンプなどの設定
- ミックス・マスタリング全般
- どんなプラグインを使用しているか
- どんなサンプルを使用しているか
などの情報を全て手に入れる事ができます。DTMerにとってこれほど有意義な情報はないでしょう。
合作はメリットだらけです。是非トライしてみてください^^